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こんにちは、京王線芦花公園駅から徒歩2分の歯医者、芦花パーク歯科の院長、新保です。
「むし歯は母親から赤ちゃんにうつる」そんな話を聞いたことはありませんか?実は、この「母子感染説」には誤解も多く含まれています。今回は、最新の研究に基づき、むし歯の本当の原因と正しい予防法をご紹介します。大切なお子さまの健康を守るために、ぜひ最後までご覧ください。
かつて、「むし歯菌(ミュータンス菌)」が母親の唾液を通じて赤ちゃんにうつるという母子感染説が広く信じられていました。キスをしたり、同じスプーンを使ったりすると、むし歯菌が赤ちゃんの口に入り、むし歯のリスクが高まると考えられていたのです。
この考え方から、赤ちゃんにキスを控えたり、食器の共有を避けたりする親御さんも多くいらっしゃいます。しかし、近年の研究では、この母子感染説に対して新たな見解が示されています。
私たちの口には1,000種類以上の微生物が住んでおり、健康な状態ではこれらがバランスよく共存しています。しかし、甘いものをたくさん食べたり、歯磨きが十分でなかったりすると、このバランスが崩れてしまいます。
食事で摂った糖分が、口内の菌によって酸に変わります。この酸が歯のエナメル質を溶かし、脱灰が進行します。普段は唾液中のミネラルやフッ素が働いて、再石灰化によってエナメル質を修復しますが、酸の攻撃が長引くとむし歯が進行してしまいます。
どんなに母親から菌がうつったとしても、日々の食生活や歯磨き、定期検診などで口内環境が整えられていれば、むし歯のリスクは大幅に下がります。つまり、むし歯になりやすいかどうかは、菌の伝播よりも日常のケアが非常に大切なのです。
むし歯予防の基本は、やはり毎日の歯磨きです。特にフッ素入りの歯磨き粉を使用することで、歯を強くし、むし歯のリスクを大幅に減らせます。
甘いお菓子やジュースなど、糖分の多い食品を控えることも重要です。間食の回数を減らし、食後には水で口をゆすぐだけでも、むし歯予防に効果があります。
むし歯は早期発見・早期治療が肝心です。3〜6ヶ月ごとの定期検診で、お口の健康状態をチェックしましょう。当院でも、定期的なフッ素塗布やクリーニングを行っていますので、ぜひご利用ください。
当院でも、「おばあちゃんが同じお箸で食べさせた!」ということで、ご家族間で意見が分かれてしまった、というご相談をいただくことがあります。確かに、口移しや同じスプーンを使うことで、むし歯菌がうつる可能性はゼロではありませんが、それよりも重要なのは口腔内の環境管理です。
むし歯は「うつる」ことだけでなく、その後のケアや生活習慣で予防できます。必要以上に神経質になるのではなく、日々のケアをしっかり行うことが大切です。
「Dental caries is a controllable disease
(う蝕はコントロール可能な疾患である)」
「To maintain health, it is essential to engage in behaviors that support it
(健康を維持するためには、健康を維持するための行動を取ることが大切)」
— Fejerskov et al., Dental Caries: The Disease and Its Clinical Management
風邪にならないように暖かい服装にするのと同じように、むし歯にならないようにするためには、むし歯にならないための行動が必要です。つまり、「むし歯は予防できる病気」なんです!
今すぐ歯ブラシを手に取り、フッ素入り歯磨き粉を使って、2分以上の丁寧なブラッシングを始めましょう。家族みんなで、むし歯ゼロの健康な口元を目指しましょう!