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インプラント治療について
インプラントとは
インプラントとは、体内に埋め込んで使用する医療機器や材料の総称です。
歯科で使われるインプラントは、失った歯の代わりに顎の骨へ埋め込む「人工歯根」を指します。整形外科では人工関節、骨接合のプレートやスクリューなどもインプラントに含まれますが、歯科の場合は「デンタルインプラント(歯科インプラント)」と呼ばれています。一般的には略して「インプラント」と呼ばれています。
インプラント治療では、歯を失った部分の骨にチタン製の小さなネジ状の人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を取り付けて歯の機能を補います。インプラント本体には「純チタン」または「チタン合金」が使われています。
チタンが使われる理由
チタンは、生体親和性が高く、骨と直接しっかり結合する性質(オッセオインテグレーション)を持っています。アレルギーが起こりにくく、体内で長期間安定していることから、歯科だけでなく整形外科の人工関節などにも用いられています。
インプラントの歴史
インプラントの考え方自体は古く、紀元後600年頃にはマヤ文明で歯の欠損部位に貝殻を埋め込んだ記録が残っています。現在のチタン製インプラントの基礎となる発見は1952年、スウェーデンの整形外科医ブローネマルク博士が、骨に埋め込んだチタンが強固に結合して取り外せないことを偶然見つけたことから始まりました。日本では1983年に初めてチタンインプラントによる治療がおこなわれました。入れ歯と異なり、インプラントは自分の歯のようにしっかり噛めるため、食事・会話・笑顔など日常生活の快適さが向上する治療として広まっています。
インプラントと天然歯の違い
天然歯には「歯根膜」というクッションの役割をもつ組織がありますが、インプラントには歯根膜がなく、骨と直接結合しています。人工物のためむし歯にはなりませんが、プラーク(歯垢)が付着すると周囲に炎症を起こし、歯周病に似た状態(インプラント周囲炎)になることがあります。
歯を補う治療はどうして必要なのか
歯を失うと生じる影響は、どの歯を、何本失ったかによって大きく異なります
前歯や噛み合わせを支える奥歯を失った場合には、口元の印象に変化が生じたり、噛みにくさを感じたり、食事のしづらさが生じたりすることがあります。一方で、欠損の部位や本数によっては、日常生活に大きな支障が出にくいケースもあることが分かっています。
歯を補う治療の目的は、「失った歯をすべて元通りにすること」ではありません
欠損の状態に応じて、
• 噛む機能(咀嚼のしやすさ)
• 食事や会話など、日常生活でのお口の使いやすさ
• 噛み合わせのバランス
• 口元の見え方や全体の印象
といった点が損なわれている場合に、それを必要な範囲で回復・維持することが、欠損補綴の本来の目的です。
すべての欠損に対して必ずしも補う治療が必要になるわけではありません
欠損している歯の部位や本数、噛み合わせの状態、現在の噛みにくさや不自由さ、生活背景などによって、治療の必要性は一人ひとり異なります。
当院では、将来起こるかもしれない変化だけを理由に治療をおすすめするのではなく、現在の機能や日常生活での不自由さを丁寧に評価したうえで、歯を補う治療が本当に必要かどうかを一緒に考えていきます。
インプラントでは次のようなことが可能になります
インプラント治療をおこなうことで、欠損の状態によっては次のような改善が見込めることがあります。
• 噛み合わせの支えが回復し、噛みやすさが向上する
• 左右でバランスよく噛みやすくなる
• 取り外し式の装置を使用せずに済む
• 見た目や発音の安定につながる場合がある
これらの効果の現れ方には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。当院では、インプラント治療の利点だけでなく、他の治療方法との違いや注意点についても丁寧にご説明し、患者さまご自身が納得したうえで選択できるようサポートしています。
歯を補う治療法とそれぞれの特徴
失った歯を補う方法には、以下のものがあります。
- 取り外し可能な義歯による治療
- ブリッジによる治療
- インプラント治療
- その他(歯の移植)
取り外し可能な義歯による治療
いわゆる「入れ歯」です。
隣の歯などにフックをかけて歯を失った部位を補う治療方法です。入れ歯が安定するように、歯を少し削り、型をとってつくります。
メリット
- 保険適応内の義歯は比較的安価で簡便につくることができる
- 治療回数や期間が比較的短い
- 小さな欠損から、大きな欠損まで広範囲の症例に対応できる
デメリット
- 取り外しが手間
- 天然歯や固定式の治療法と比べて、噛む力が十分に出ない場合がある
- フックをかけた歯に負担がかかる
- 入れ歯を支える歯にむし歯ができやすくなる
- 装着後5年ほどで約半数が使用されなくなる
ブリッジによる治療
両隣の歯を削り、型をとったあとに繋がった被せ物を入れる治療です。
メリット
- 取り外し式でないため、義歯のようなお手入れの負担や、装着時の違和感が少ない
- 比較的短期間で治療が終わる
- 噛む感触が自分の歯と近い
- 材質によっては保険が適応される
- 支える歯が神経を取っていない場合、長期的な安定が期待できる
デメリット
- 隣の歯をたくさん削る
- 被せ物がつながっているため、清掃が難しい
- 歯の残り方や位置、ブリッジを支える歯の状況によっては、できない場合がある
インプラント治療
歯が抜けたところの顎の骨に人工の歯の根を埋めて、それを土台にして歯をつくる治療です。構造的に周囲の歯の支えが必要なく歯を補えるため、周囲の歯に負担をかけません。
メリット
- 自分の歯と近い感覚で噛める
- 取り外し式ではない
- 義歯のように取り外しの手間や装着時の違和感がない
- インプラント単独で歯を補えるため、義歯のようにフックをかける必要もなければ、ブリッジのように隣の歯を削る必要もない
- 欠損周囲の歯に負担させないため、周囲の歯に発生するトラブルが少ない
- インプラント自体の成功率が高い
※当院で使用しているストローマン社のインプラントは、治療後10年で約97%の成功率という研究報告があります。
※出典:ストローマン社「インプラントの寿命・長く使うために」(参照日:2026年1月10日)
デメリット
- 保険適応外のため治療費が高額
- 外科処置が必要
- 治療期間が長め
- 全身疾患や清掃状況、骨の状況によってはできない場合がある
- インプラント周囲炎というインプラント特有の問題が発生する場合がある
- インプラントの隣の歯を失うことになった場合、その部位を補う治療で悩みが発生する
- インプラントメーカー、インプラントデザインがたくさんあるが、それぞれ互換性がないものもあり、引越などで通院が難しくなった場合に、対応に苦慮することがある
その他(歯の移植)
親知らずなど噛むことに参加していない歯を、歯が抜けたところに移植することがあります。
歯の根の形など症例選択が非常に重要です。
メリット
- 自分の歯を使える
デメリット
- 移植する歯の条件が限られている
- 歯がうまく付かないことがある
相談から治療の流れ
インプラント治療にはたくさんのステップがあります。またインプラント治療を成功させるために十分な検査が必要です。さらにインプラントを長持ちさせるためにメインテナンスも重要です
治療の流れはこのようになります。
step01
相談・カウンセリング
お悩みを解決するための治療法を探していきます。
患者さまのお悩みをお話し頂き一緒に治療法を考えます。治療法はひとつだけとは限りません。また、治療結果は体の状態とも関係するのでお体全体の状態についてもお話を伺います。
step02
お口の中の全体の検査
患者さまのお口の中は一人ひとり違います。歯周病、むし歯、歯ぎしりや歯並びなどさまざまな状況を確認します。それらはインプラントの治療に直接的に関わったり、インプラントの持ち具合に影響したりします。
お口の中をしっかり検査する必要があります。
step03
抜歯・歯周病治療・むし歯治療など
お口の中を検査して歯周病やむし歯などの治療が必要なところが見つかったら、インプラントの治療を始める前に治療を終えておく必要があります。
少しでもインプラントが長く使えるように、お口の中の状態を整えておくことが大切です。
step04
エックス線撮影、血液検査
インプラントは顎の骨に支えられてしっかり噛むことができます。したがって十分な骨のボリュームが必要です。また、顎の骨の中を通っている神経を傷つけないようにインプラントを埋めなければなりません。そこで顎の骨の形を正確に知るためにエックス線撮影をおこないます。
step05
骨の移植
顎の骨が細すぎたり低すぎたりするとインプラントを埋められません。そのような時は骨のボリュームを増やすために、骨の移植をおこなうことがあります。下顎の奥のほうから骨をとったり、人工的な材料を使ったりと、増やす量に応じて判断します。
step06
インプラントを埋める手術
麻酔をして顎の骨にインプラントを埋めます。まず歯肉を切り開いて顎の骨を出します。それからドリルで注意深く骨に穴を開けて、インプラントを埋めます。インプラントがしっかり埋まっていることを確かめてから歯肉を戻して縫い合わせます。この時にインプラントの頭の部分を口の中に出す方法と、頭を全て歯肉で覆ってしまう方法があります。
step07
骨とインプラントが結合するのを待つ
インプラントは骨と大変なじみの良い材料でつくられているために、骨と強くくっつきます。ただしインプラントで噛んでも大丈夫になるまでは骨の治りを待つ必要があります。元々の骨の強さや埋められたインプラントの種類によって待つ期間は異なりますが、概ね2〜6ヶ月程度待ちます。
step08
インプラントの頭を歯肉の上に出す手術
インプラントを埋める際にインプラントを歯肉で覆った場合は、インプラントの頭を出すためにもう一度手術をおこないます。麻酔をしてインプラントの上の歯肉を切って頭の部分を出してから、長めのキャップをインプラントの上に取り付けます。
step09
仮歯を入れる
骨とインプラントがくっついてから歯をつくる作業に入ります。口の型取りと噛み合わせの記録をおこないます。いきなり最終的な歯をつくらずに、まず仮歯をつくって口の中に合わせる場合もあります。
step10
形、使い心地などをチェック
被せ物の見映え、噛み心地、話しやすさ、磨きやすさなどをチェックします。不具合がある時はその都度調整を行います。
step11
最終的な歯を入れる
仮歯を作製した場合は、再度型取りをおこなうこともあります。完成後、最終的な被せ物を取り付けます。
step12
定期的なメインテナンス
インプラントを長持ちさせるためには、口腔清掃をきちんと行うことが重要です。
口の中の状態のチェックと取りきれない汚れの除去のために歯科医院での定期的メインテナンスが必須です。
よくいただく質問
インプラント治療は誰でも受けることができるのでしょうか?
インプラント治療は、外科処置を伴う治療であると同時に、治療終了後も十分なケアが必要です。以下のような疾患をお持ちの方は注意が必要です。
• 高血圧症や心臓疾患等の循環器系疾患
• 喘息等の呼吸器系疾患
• 糖尿病や骨粗鬆症等の疾患
• 腎臓や肝臓の機能障害
また、現在服用されている薬によっては、インプラント治療が適さないこともあります。全身状態や服薬状態について事前に歯科医師へお伝えください。
インプラントを入れる部位の骨が少ない場合は、骨を増やす処置をおこなうことでインプラント治療が可能になりますが、骨の状態によっては治療が困難なこともあります。
歯周病がある方や喫煙される方は、治療後のインプラントの成功率が低いことが知られています。歯周病の治療や減煙あるいは禁煙もご検討されることをおすすめします。
インプラント治療は痛くないのでしょうか?
インプラント埋入手術の際には、歯を抜いたり歯を削ったりするときに使用する局所麻酔を使用しますので、痛みを感じることなく処置を受けられます。
手術後には鎮痛薬(痛み止め)を服用していただきます。通常の場合、鎮痛薬を服用していれば、十分に収まる程度の痛みです。
「抜歯後の方が辛かった」というお声をいただくこともあります。
ただし、すべての症例でそうではなく、大規模な骨を増やす処置をおこなった場合や、前歯部のインプラントの場合は、術後腫れたり内出血が起こったりすることもあります。
インプラント治療後の腫れはありますか?
手術後は腫れることがあります。腫れの程度は手術内容によって異なり、全く腫れない場合もあれば、外から見てわかるほど腫れることもあります。また、内出血により顔の一部が紫色になることもあります。
腫れや内出血は通常1週間程度で落ち着きますが、予想以上に症状が出る場合もあるため、事前に腫れることを想定しておいた方が無難です。症状が強い場合や不安な点がありましたら、お気軽にご相談ください。
インプラント治療後に定期的に来院しないといけない理由について教えてください。
天然歯と同様にインプラントを長く維持するためには定期的なメインテナンスが不可欠です。
インプラントのトラブルは、痛みなどの自覚症状がないまま進行することがほとんどです。症状が現れた時には、すでに深刻な状態になっていることが多く、インプラントの撤去が必要になる場合もあります。
そのため、問題を早期に発見するための定期的なメインテナンスが欠かせません。インプラント治療の高い成功率は、治療後の適切なメインテナンスが前提です。ご自宅でのケアと定期的な来院により、トラブルを未然に防ぎ、インプラントを長持ちさせることができます。
インプラント治療後の注意を教えてください。
インプラント治療後は、日常生活の中でのセルフケアがとても重要になります。
インプラントはむし歯にはなりませんが、周囲の組織に炎症が起こることがあります。そのため、歯ブラシや補助的な清掃器具を用いた、患者さまご自身による毎日の口腔清掃を徹底することが大切です。
また、定期的な経過観察(メインテナンス)を受けることで、問題が起きていないかを早い段階で確認することができます。
自覚症状が出にくいため、特に問題がないように感じていても、日々のケアと定期的なチェックを続けることを心がけましょう。
