こんにちは。世田谷区南烏山、芦花公園駅近くの芦花パーク歯科、院長の新保です。
このたび、歯科医師向けの専門誌『日本歯科評論(2026年6月号)』にて、景山正登先生とともに「根面う蝕のマネジメント2―根面う蝕の検査に基づく診断と治療のフローチャート―」を執筆いたしました。
4月号では、「歯の根っこにできる虫歯」である根面う蝕の特徴や、発症・進行を防ぐための考え方について解説しました。
4月号で解説した「根面う蝕の特徴と予防」については、前回の記事もあわせてご覧ください。
今回の6月号では、実際に根面う蝕が見つかったときに、
「現在も進行している虫歯なのか」
「すでに進行が止まっているのか」
「削って詰める必要があるのか」
をどのように判断し、治療につなげるかを解説しています。
歯の根元が黒い=すぐに削る虫歯、とは限りません
根面う蝕では、歯の根元が黄色や茶色、黒色に変化することがあります。
しかし、色だけで「進行中の虫歯」と判断することはできません。黒く見えていても進行が止まっていることがあれば、それほど目立たない色でも進行している場合があります。
そこで歯科医院では、色だけでなく、
- 表面にプラーク(歯垢)が付着しているか
- 表面に光沢があるか
- 表面が軟らかくなっていないか
- 歯の根元にどの程度の欠損があるか
- 以前の状態から変化しているか
などを確認し、病変の活動性、つまり「現在も進行しやすい状態かどうか」を診断します。
大切なのは、見た目だけで判断せず、病変の状態を継続的に確認することです。
根面う蝕は、すべて削って詰めるわけではありません
根面う蝕の治療は、病変の活動性や深さ、歯ブラシが届きやすい場所かどうかによって変わります。
まだ浅く、歯ブラシで清掃できる段階であれば、すぐに削らず、フッ化物の活用やブラッシング、食生活などを見直すことで、進行を止められる可能性があります。
一方、欠損が深くなり、プラークがたまりやすくなっている場合には、セルフケアだけで進行を止めることが難しくなります。そのような場合は、虫歯の原因となった環境を整えたうえで、詰める治療を検討します。
また、検査の結果、すでに進行が止まっていると判断される病変では、無理に削らず、毎日のブラッシングと定期的な経過観察を続けることもあります。
つまり、根面う蝕では「虫歯があるか、ないか」だけではなく、「今も進行しているか」を見極めることが重要なのです。
詰めたら終わり、ではありません
根面う蝕は、歯ぐきが下がって露出した根面に発生します。
そのため、詰める治療を行っても、プラークがたまりやすい状態や唾液の減少、食生活などのリスクが残っていれば、詰め物の周囲や別の歯に再び根面う蝕が発生することがあります。
治療後も、
- 根面に合ったブラッシング方法
- フッ化物配合歯磨剤の継続使用
- 食生活や服薬状況の確認
- 定期的な検査とクリーニング
を続けることが大切です。
根面う蝕の治療は、患者さんと歯科医院の共同作業です
今回の記事で特にお伝えしたかったのは、根面う蝕のマネジメントは、歯科医院での処置だけでは成立しないということです。
患者さんご自身による毎日のセルフケアと、歯科医師・歯科衛生士による検査や専門的なケア。その両方を続けることで、根面う蝕の進行や再発を防ぎ、歯を長く守ることにつながります。
すべての患者さんに同じ治療を行うのではなく、その方の生活環境やセルフケアの状況、病変の状態に合わせて、現実的に続けられる方法を一緒に考えることが重要だと考えています。
芦花公園・南烏山の皆様へ
「歯の根元が黒く見える」
「歯ぐきが下がって、根元がへこんでいる」
「最近、歯と歯の間に食べ物が詰まりやすい」
このような変化があっても、ご自身で「虫歯だから削らなければならない」と判断する必要はありません。
根面う蝕は、病変の状態を正しく診断し、それぞれに適した方法で対応することが大切です。
気になる変化がありましたら、まずは検診で現在の状態を確認しましょう。
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